言わずと知れた深作欣二監督作「バトル・ロワイアル」を紹介していきます。中学生が殺し合いをするという衝撃の内容、グロテスクな描写が多いことなどから社会的に話題となった本作。今回はそのあらすじや映画に込められたメッセージなどを解説していきます。それではいきましょー。
※ネタバレを含みます。ご注意ください。
バトル・ロワイアル あらすじ
荒れに荒れた学校、城岩学園中学3年B組の一行は修学旅行のバスの真っただ中。トンネルに差し掛かると周りが異様な静けさに包まれる。B組の生徒七原秋也が目を覚ますと教室のような場所にいることに気づく。他の生徒たちも目を覚ますと、元担任で教師を辞めていたキタノが軍人のような人間を大勢引き連れて現れる。そこでキタノから衝撃の言葉が発せられる。「皆さんにはちょっと殺し合いをしてもらいます」。無人島に置かれた生徒たちは、残り一人になるまで全員で殺し合いをしなければならない。さもないと全員が死亡するという。
勝ち残らなければ自分が死んでしまうという極限の状況に置かれた生徒たち。戸惑いながらも一人ずつ荷物を持って外に出始める。これまで友達だった者たちが殺しあうバトルロワイアルが始まった。果たして秋也は生きて島から帰ることができるのか。。。
世界に衝撃を与えた問題作
中学生がクラスメイト同士で殺し合いをするというぶっ飛んだ物語。日本でも公開にあたり、国会でこの映画の話題が上がったほどの問題作。
中学生とう思春期の時期に命を懸けて戦わなければならない状況に追い込まれた時、人がどのように行動するのか、そして自身ならどうするかということと重ねてみると面白いですよね。私はすぐ殺されるでしょうけど^^;
世界に与えた衝撃も大きかったです。クエンティン・タランティーノ監督もこの作品を過去20年で最高の映画と評しています。
今までクラスメイトだった友人に命を狙われる
舞台はある中学校の1クラス。物資が配られ、外へ出るとゲームがスタートします。秋也は外へ出ると早速ボウガンで首を撃たれたクラスメイトを見つけます。自身も狙われ、逃げようとするところを後から出てきた中川と遭遇。一緒に逃げることになります。中川は秋也の親友だった国信が好意を寄せていた相手であり、その後秋也と中川は特別な関係へと発展していきます。
各々が武器を手にし、島を行き交います。中には現実に耐えられず、自殺する者、仲良しグループで徒党を組んでいる者。それぞれの人間模様が見られてとても面白いです。
個人的に好きなのは灯台で一緒にいる女子軍団。些細なことから仲違いし銃撃戦にまで発展、全員が死亡してしまう結末がなんともあっけなくて友情なんてそんなもんかと思わせます。
魅力的なキャラクター
主人公七原秋也を演じたのは藤原竜也。これまで友人だったクラスメイト達が殺し合いをすることを受け入れられずにいます。登場人物の中で一番観ている我々に近い思いを抱いているかもしれません。他にもBRに参加する2人の「転校生」川田と桐山。川田を演じるのは山本太郎です。かつてこのBRを経験し、大人たちに復讐のために今回のゲームに参加しました。戦闘力はすさまじく、ショットガンをメインに戦います。彼は中盤で七原達2人と合流します。2人と最後まで戦い、最後は島から脱出する船の上で死亡しました。
一方の桐山和雄は自身で志願してゲームに参加してきた異常者です。性格は残忍そのもので殺しを楽しんでいるようです。終盤で爆発に巻き込まれ両目を失いますが、その状態でも川田と死闘を繰り広げました。この2人の戦いは必見。また、作中彼は一言もしゃべらないことも特徴です。安藤政信が演じる彼はとてもクールでミステリアス。人気のあるキャラクターとなっています。その他にも栗山千秋、柴咲コウ、高岡蒼佑など、今の日本を代表する俳優陣が出演しています。
そしてキタノを演じているのはビートたけしです。これは監督である深作欣二監督が彼と一緒に映画を撮りたいと希望したことによるキャスティングだそうです。キタノの異様な雰囲気は映画の中でも特に印象深いですね。
最後は
生徒たちは制限時間内に一人勝ち残るため殺し合いを開始します。秋也は隠れながらも要所で運もあり生き残っていきます。最終盤、桐山との戦闘後、川田は単身学校へ乗り込みます。キタノから通信をハッキングしたことを詰められ銃を突き付けられた川田。その前に秋也と中川が現れます。中川は思わずキタノに銃を向けます。キタノも銃を向け、「撃たないなら撃つ」と言ったその時、秋也が脇から発砲。キタノはその場に倒れます。
するとキタノの携帯が鳴ります。死んだと思われていたキタノがムクっと起き上がり電話に出ます。電話はキタノの娘からでした。娘との関係は完全に崩壊しており、キタノは中川を大切に思っていたようでした。
島を脱出する船の中。桐山との戦いで怪我をした川田の容態が悪化。彼はそのまま死んでしまいます。川田は以前の大会で生き残る際、彼女のケイコを殺してしまっています。大会を開いた大人たちへの復讐でゲームに参加したのでした。
後日。島から脱出した秋也と中川。BRから脱出したことで全国指名手配されたため、身を潜めながら2人で生きていくことになります。
映画に込められた想い
BR法が何のために作られたのかというと、世の中の情勢にその理由がありました。舞台は日本、とははっきり明言されていませんが、時代背景的には日本と同じです。失業者が増加、大人を蔑ろにする子供達が急増。学校や家庭が崩壊し、少年犯罪が増加していく世の中。大人たちがそれを恐れ、子供達を支配するために作られたのがこのBR法。
映画では最後に「走れ」と投げかけて幕を閉じます。日本の格差社会や教育に対して何もできない大人たち。そしてそれを見て大人たちと同じになっていく子供達。そのような社会への批判、若者へのエールを込めた言葉だと勝手に解釈しています。ただのグロテスクな映画というわけではなく、現代社会が持つ問題を皮肉たっぷりに表現されているのだと思います。
そして、最期の「走れ」からイントロが、流れだすところはどことなく平成初期の夜明けのような雰囲気が感じられてとても好きです。
おわりに
さて今回は日本発、世界に大きなインパクトを残した映画「バトル・ロワイアル」を紹介しました。ただグロいだけの映画ではなく、しっかりと意図があって作られた映画。自分は一番初めこの映画を観た時は中学生だったんですが今になってこの映画を観るとそうしたことが感じられて新鮮です。
監督の息子が遺志を引きつぎ、完成させた続編もあります。またいつか紹介したいと思います。それでは!
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