ナイトメア・アリーあらすじ感想―タイトルの意味は?エノクって何?【ネタバレあり】

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「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞作品賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督の最新作「ナイトメア・アリー」が公開中です。惜しくも作品賞は逃しましたが、これまでの作風とは一線を画す作品で注目を集めていました。今回はストーリーのあらすじと感想を紹介していきます。

それではいきましょう!

※ネタバレを含んでいます。ご注意ください。

あらすじ

1930年代アメリカ。主人公のスタンは放浪の末、見世物小屋の公演に立ち寄っていた。終了後、マネージャーのクレムは、彼に仕事を手伝ってほしいと声をかける。日銭を稼ぎたかったスタンはこれを承諾。見世物小屋での生活が始まった。そこで知り合ったジーナは、超能力で人の心を読み当てるという触れ込みでショーを行っていたが、実は読心術で人の心を読んでいた。彼女の技術を得るためスタンは彼女のアシスタントとして活動し始める。少しずつテクニックを身に付けていき、人気を得始めるスタン。同時に別のショーに出ていたモリーに惹かれていく。モリーも彼の思いを受け止める。意を決し駆け落ちし、2人は都会で生活し始めることに。

スタンは得意としていた読心術を使い、霊能者と偽り、モリーとともにショーで稼ぎ生活していく。そんな時、客として現れた心理学者、リリス・リッター博士は彼らのショーをイカサマだと声を上げる。彼女の登場によってスタン達の生活に狂いが生じていき。。。

タイトル「ナイトメア・アリー」の意味は?

本作のタイトル「ナイトメア・アリー」は原作が存在します。ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」が原作。この「悪夢小路」こそがナイトメア・アリーという言葉の意味で、抜けられない悪夢を表しています。

主人公スタンが悪夢小路に堕ちていく様子が今作のキモと言ってもいいでしょう。スタンははじめからロクな人間でないことが様々なところで描かれていました。読心術で成功した彼は心霊アドバイザー的な仕事を請け負うようになります。大切な人を亡くした人のところへ赴き、その大切な人になりきり適当なメッセージを伝えることで大金を稼いでいました。詐欺まがい(というか詐欺?)の行動のほかにも、病気で動けない父をベッドに放置し、窓を開け、冬の寒さで死なせるなど、人間のクズみたいなことを平気でしています。

最終的にはこのろくでもない主人公は自身の嘘がばれ、身を滅ぼすこととなります。そして彼がたどり着いたのが皮肉にも冒頭の見世物小屋。何とか雇ってくれと頼む彼に、いい仕事があると伝えるマネージャー。それはかつて自分が下に見ていた「獣人」としてショーに出演するというものでした。

ブラッドリー・クーパー
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

超豪華キャストが物語を作り上げる

今作の主人公スタンを演じるのはブラッドリー・クーパー。こんだけかっこよかったら普通に見た目だけで仕事できそう。。。

かっこいいブラッドリークーパー
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

物語を大きく左右する心理学者のリリス・リッター博士にはケイト・ブランシェット。彼女の怪しげな雰囲気が物語に深みを与えます。物語では彼女が現れたことがスタンの人生が崩壊へと向かっていくきっかけとなります。

ケイトブランシェット
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

さらにトニ・コレットやウィレム・デフォー、ルーニー・マーラなど、錚々たるキャスト陣が脇を固めます。1930年代~40年代の異世界のような雰囲気をとてもよく表現しており、観ている人々を物語の世界に没入させてくれます。

当初はスタン役にレオナルド・ディカプリオを予定していたんだとか。。。そっちも観てみたい!

ギレルモ・デル・トロ作品らしくない?

これまでの監督の作品だと、超自然的なキャラクターが登場し、それを取り巻くドラマが醍醐味でした。しかし今作は登場するのはあくまで人間。見世物小屋などに登場するキャラクター達も、特殊な能力を持っていないケースもあります。こういう意味ではこれまでの彼の作品とは少しテイストが異なった作品だという印象を受けます。これは監督自身が原作小説のファンだったこと、社会の闇を描いたような作品を撮りたかったことが理由としてあると語っています。

監督は日本の怪獣映画が大好きということもあってそういう映画だと期待して観るとかなり違う印象を受けますね。

ナイトメア・アリーは見世物小屋が舞台
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

エノクの意味とは?

物語の合間に登場するホルマリン漬けの胎児「エノク」。額に目玉のような瘤があるのが特徴で一度見たら忘れられないおどろおどろしい見た目をしています。エノクは母のお腹にいるときに暴れまわり母を殺したという逸話があるヤバイ存在。その見た目はショーで目隠しをして相手の心を読むスタンの姿と重なります。

エノクは常に見世物小屋に置かれ、一目見ただけでスタンに強力な印象を与えます。頭の中にこびりついて離れないのは自分自身と重なる部分があること。そして自身の業の深さを見透かされているのではというスタンの恐怖心のような思いがあるからではないでしょうか。最期にも登場し、獣人として生きていくこととなるスタンを見届けています。

気味悪いだけでなく物語において非常に重要な意味を持つエノク。なんとなくマスコット的な雰囲気もある?

ナイトメア・アリーのエノク
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

おわりに

さて今回はアカデミー賞にもノミネートされたギレルモ・デル・トロ監督最新作「ナイトメア・アリー」を紹介しました。これまでの彼の作品、いわゆる怪物系ではない、人間の闇を取り上げた作品です。

個人的にはこれまでの怪獣系の作品はとても好きでしたが、人間を題材とした作品も面白いですね。中盤の会話からラストは読める部分もありますが、それを置いても皮肉の利いたラストはよかったです。

皆さんもぜひ観てみてください!それでは

その他映画紹介はこちら

ナイトメア・アリー
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

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