今回は韓国映画「非常宣言」を紹介していきます。
「パラサイト」のソン・ガンホ、イ・ビョンホンというキャスト陣が飛行機に閉じ込められ、逃げ場を失った乗客たちのパニックの様子を描きます。
今回はそんな映画のあらすじやラストなどをまとめて紹介していきます。
それではいきましょー。
※ネタバレを含みます。ご注意ください。
あらすじ
イ・クノ刑事は付近のマンションで撮影されたとみられる飛行機テロの予告動画を探っていた。
大方デマだろうと考えていた彼とその仲間だったが、犯人とみられる男の自宅を捜索する。するとビニールで巻かれた死体が見つかり、騒然となる。すぐさま男の行方を追う刑事たち。
一方その頃、空港。娘と2人ハワイへ向かう飛行機へ搭乗を待つジェヒョク。途中見知らぬ男が付きまとってくるいざこざがありながらも無事飛行機に搭乗する。
飛行機に乗り込むと、搭乗の際に揉めた男も同じ飛行機に乗り込んでくる。男から目を離さないよう気を付けるジェヒョク。
機内では、隣に座った男が、例の飛行機テロ予告動画を見ていた。
それを見てジェヒョクは戦慄する。動画に写っている男こそ、先ほど揉め、この飛行機に乗り込んできた男その人だったのだ。
男はトイレに入り込み何やら作業をしている。
そして男の次にトイレに入った男が突如血を吹き出し、死亡してしまう。
その後も、次々と乗客が倒れていく。
動画のことを乗務員に知らせ、男を取り押さえることに成功するジェヒョク達。しかし男は即効性の高いウイルスをまき散らし、この飛行機の乗客は全員死ぬ、とあざ笑うばかり。
異常事態となった飛行機。他国の飛行場に着陸要請を出すも受け入れてもらえない。果たして彼らは無事に地上に降り立つことができるのか。そして乗客たちが下した決断とは。。。
陸と空双方の視点から描くパニックサスペンス
本作の主人公、ソン・ガンホ演じるイ・クノ刑事はテロの起こった飛行機には乗ってません。
彼は地上にて飛行機内でウイルステロが起こったことを知ります。さらに彼の妻がまさにその飛行機に乗っていることを知り、全力で事件解決を目指します。
機内の様子が分からない中で人が死んでいく情報が入ってくる。自分の手ではどうしようもないもどかしさと焦りが伝わってきます。
一方の飛行機内でも色々と人間模様が展開されていきます。
娘とハワイへ向かうジェヒョク。彼にもどうやら隠された過去があるようで。
これは後に明らかになる重要なポイントです。
さらに機内で次々と倒れる乗客たち。目に見えないウイルスという恐怖からパニックになる様子を緊張感満載で描きます。
さらにはパイロットもこのウイルスに侵され死亡してしまいます。残された副操縦士も感染し、ギリギリの状態で操縦しています。残された時間がわずかしかない状況というハラハラ感は観ているこちらも感情移入しやすいですね。
事件の真相
わざわざ予告動画まで出してテロを起こす犯人の男。
リュ・ジンソクという若い男が事件を引き起こした犯人でした。
彼は生物系の博士号を持ち、バイオ研究の多国籍企業に在籍していた過去があります。
しかし、母に抑圧されて生きてきたことで倫理観が崩壊。ウイルスを使ってネズミを殺す実験を繰り返していました。そしてその実験は人体へとエスカレートしていきました。そのことが会社にバレてしまい、クビになってしまいました。そらそうだ
思うようにならない社会への復讐、行くあてのない人生の終焉などの理由から、飛行機内でのバイオテロを思いつくのです。
韓国の映画って結構こうしたサイコ的な犯罪者が登場することが多いイメージがあるんですよね。そんな映画ばっかり観てるからか^^;
ジンソク本人は自分が撒いたウイルスに感染し、機内で死亡するのですが、治療薬や解決方法など何も提示せずに死亡したことで、機内・地上含め手の打ちようがなくなってしまいます。
ジェヒョクの過去
娘と2人ハワイへと向かう飛行機内でテロに遭遇したジェヒョク。
彼は実は過去凄腕のパイロットとして活躍していました。
しかしある事故がきっかけでパイロットをやめ、飛行機に乗ることすら困難な精神状態に陥ってしまいました。
物語序盤では副操縦士との過去に因縁があったことをうかがわせます。これは副操縦士の妻がジェヒョクの操縦していた飛行機事故で命を落としてしまったことが理由となっています。
仕方なかったこととは言え、人の命を失った責任から彼はパイロットをやめたのでした。
しかし、テロに遭遇し、機長が死亡。副操縦士も感染し操縦がままならない状態になってしまったことで、やむを得ず彼はコックピットに入ります。
過去のトラウマを克服するのがやたら早い気はしますが、彼の操縦で日本の成田空港に降り立とうと管制塔に交渉します。
しかし交渉は決裂。自衛隊の戦闘機がやってきて威嚇してきます。
まさか威嚇射撃までしてくるとは。。。
行くあてを失った飛行機は仕方なく韓国まで戻ることに。燃料や感染の心配を抱えながら物語はクライマックスへと向かっていきます。
治療薬の発見
クノ刑事は彼の在籍していた多国籍企業に解決の糸口があると考え、情報提供を依頼。しかし責任を取りたくない企業は全く相手にしませんでした。
多国籍企業に相手にされない刑事たちでしたが、同じく事件解決にあたる国土交通大臣が乗り込んできます。
国家権力を使いながら企業と交渉し、治療薬を提供させることに成功します。
既に国中に広がったテロによる混乱もこれで収まるかに思われました。しかし、、、
極限状態で乗客たちが下した決断とは
治療薬が見つかり、ようやく地上に降りることができると歓喜する乗客たち。
しかし、問題はここからでした。
地上では、国を挙げて帰国する飛行機を歓迎する、かと思いきや、未知のウイルスを国に持ち込むなという声が挙がります。
いくら治療薬ができたとは言え、それが即効性を持って確実に効くという保証はない。
万一、ウイルスがまん延したらと考えると、こう考えるのも無理もないかもしれません。
そしてその考えは加速し、ついには飛行場付近での帰国反対デモが起こります。
このあたりの雰囲気がハリウッド映画と異なる韓国映画の独特な点ですよね。
賛成反対両陣営がデモ行進をしている中、飛行機は帰国の途を着実に進んでいきます。
しかし、国内の様子をスマホで知った乗客たち。自分達が帰国することが本当に正しいのか自問し始めます。
国民アンケートでは反対派の方がやや優勢。これには事件解決にあたっていた政府関係者たちも何も言えません。
本当の敵はウイルスよりも人間の心かもしれませんね(至言)
そして乗客たちはこの状況を解決できるのは自分達しかいないと考え、「帰国しない」という選択を取ることに。
そのことを飛行機を操縦していたジェヒョクは政府関係者に伝え、連絡を絶ちます。
スマホで家族や友人に別れを告げ、どこかへ飛び去っていく飛行機。
何とも悲しい結末へと進んでいくのでした。
ラストは
しかし、さすがにこのまま終わるわけにはいきませんでした。
地上で事件解決のため全力を尽くしてきたクノ刑事。妻が乗っている飛行機がどこかへ飛び去っていくのを黙って見ている訳にはいきませんでした。
彼は自分自身にテロで使われたものと同じウイルスを打ち込み、治療薬を使うよう指示します。
自分が治ったら飛行機を着陸させろと政府関係者に話すのでした。
身を挺しての行動が実を結び、一時生死の境をさまよいましたが何とか一命をとりとめ、治療薬の効果を身をもって証明しました。
治療薬が効くことを知った世間の意見は一転、着陸を歓迎すべきという論調に。
このことが機内にも伝わり、飛行機は近くの小さな飛行場に無事着陸するのでした。
事件後、しばらくしてジェヒョクはある場所を訪れます。
同じ飛行時に乗っていた乗客、乗務員などが一同に会し、共に語り合っている場でした。
生きて帰ることができた喜びを共にし、握手を交わしあいます。
クノ刑事は、命自体はとりとめました。しかし打ち込んだウイルスの量が多かったのか、日常生活が困難な状態になってしまいました。それでもジェヒョクと対面したことは理解したようで、喜びのような表情を浮かべ、物語は幕を閉じます。
まあ何とかハッピーエンド的に追われてよかったですね。
さすがにどこかへ行きますエンドだとそれこそ韓国の人たちの反感買いそうですし。。。
おわりに
今回は映画「非常宣言」を紹介しました。
なかなか展開が目まぐるしく変わり、喜び→絶望→喜び、のような上げて落とすスタイルだったので飽きることなく観ることができました。
日本やハリウッド映画にはないダークな雰囲気やソン・ガンホやイ・ビョンホンなど実力派キャスト陣など、見どころは結構多いと思います。
気になった方はぜひ観てみてください!それでは!
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