「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール監督最新作「NOPE」が公開されています。
予告編から得体のしれない恐怖が非常に気になる作品でした。
今回はそのあらすじ、結末、作中で登場してくる「未知なる存在」について、解説していきます。
物語を通してどうやらキモとなっている、チンパンジーの事件についてもまとめて解説します!それではいきましょー。
※ネタバレを含みます。ご注意ください。
あらすじ
牧場を経営しているOJ。かつて彼の父は、空から降ってきたコインが頭を貫き、死亡していたのだった。その一件以来、彼は暗い青年になってしまった。
OJは育てた馬を売り、生活のための金にしていた。
ある日の夜。彼の馬が一頭、外に逃げ出すという事件が起こる。馬を追いかけるOJ。
すると、彼の周囲では轟音と共に風が巻き起こり、そしてその後すぐ、空を飛行していく円盤状の物体を目撃するのだった。
未確認飛行物体を目撃したOJ。彼は妹のエメラルドと共に「それ」をカメラに収めようと企む。
牧場中に監視カメラを設置し、その姿を捕らえようとする2人。
そしてついに「それ」が現れる。しかし、「それ」の周囲では電子機器がダウンし、カメラに収めることは難しいようである。
そして「それ」は風を巻き起こし、彼の馬を吸い上げ、さらってしまったのだった。
2人は「それ」を撮るため、更なる策をめぐらせる。
OJとエメラルドは世紀の大発見となる映像を撮影することができるのか。そして「それ」の本当の正体とは。。。
ジョーダン・ピール監督最新作
「ゲット・アウト」「アス」など独特なホラー映画で知られるジョーダン・ピール監督の最新作となる本作。
「ゲット・アウト」に続いて主演をダニエル・カルーヤが努めます。もはや黄金タッグか。
そして今作は未確認飛行物体を軸に話が進んでいきます。
予告編からガッツリ円盤状の物体が登場していたのでどんな作品になるかとても楽しみでした。
ただ、予告からこの本編を予想できた人はほぼいないでしょう^^
それくらい意外な展開で進んでいくストーリー。
キャスト陣の確かな演技力の後押しもあり、観ていてとても緊張感のある映画でした。
UFOだと思っていた物体は実は
序盤、馬をさらったり、山の上を飛行したりする円盤状の物体。どこからどう見てもUFO。
中には宇宙人が乗っているのか、どんな姿をしているのか。なんてことを考えながら観たら残念、そんなものは出てきません^^;
実はこの円盤自体が生き物だったという展開。なんと斬新な。。。
この生物は馬や人を食べるためOJの家の上空を縄張りにし、定期的に食べ物を取りに地上付近まで降りてきていたのでした。
まだ未確認なだけで動物なのか、どこか別の星からやってきたのか、全く謎に包まれたそれ。
OJたちはそれを「Gジャン」と名付け、それの映像を記録し、一攫千金を目指すことにします。
しかしそんな考えが簡単に行くはずもなく。。。
チンパンジーの事件は何か関連がある?
物語冒頭から定期的に挟まれるテレビ番組収録で起きたチンパンジーの暴走事件。
チンパンジーと人間のホームコメディ収録中にチンパンジーのゴルディが家族役の人々を次々に襲うという凄惨な事件です。
見世物にされていたチンパンジーが激高し、出演者を襲っていく様子は恐怖そのもの。
これ自体はUFOの一件とは無関係だと思います。
靴が上向きで直立していたことについても、不思議ではありますが何か超自然的な力が働いた、とは考えにくいです。
上向きの靴は本作のテーマ「上を向いてはいけない」を体現しているものかもしれません。
そしてこの時子役で出演していたのがOJの牧場の近くで小さなテーマパークを経営するジュープ。
実は彼はUFOの存在に以前から気づいていました。
馬を餌としていることを知った彼はUFOを見世物にし、金もうけをたくらみます。
彼が馬を買う理由がここで分かります。
そして最後はUFOを見に来た観客ともどもUFOに連れ去られ、というより食べられてしまいます。人々の悲鳴がこだまするシーンはなかなかにトラウマものです。
そしてその後彼らの血とみられる赤い液体がOJの家を覆うほど大量に降り注いできます。このあたりは、冒頭から出てくる「ナホム書」が完全にリンクします。
見世物にされたチンパンジーとUFO。それらを利用していた人間たちが割を食うという予言が見事に的中しているのです。
恐ろしい顔の女性は誰
ジュープのUFOショーに観客として座っているベールに覆われた女性、メアリー。
UFOが風を巻き上げながら登場すると、そのベールが風でめくれ、顔があらわになります。
歯がむき出しになり、皮膚は爛れたようになっています。
予告でも印象的だった彼女は一体何者か。
その答えは前述のチンパンジーの一件にありました。
彼女は例のホームコメディにジュープの姉役で出演していたのです。
まさにチンパンジーに襲われた張本人で、そこでは何とか生き延びていたことが分かります。
物陰になっていたので直接どのようなことされたのかはわかりませんが、あの顔を見るにすさまじい被害に遭っていたことが分かります。
あの一件以来普通に生きていくことができなくなった彼女をジュープは庇護し、共に生活していたのでしょうか。
結局最後はジュープと同じくGジャンに食べられてしまいました。。。
Gジャンの弱点
飛行能力に加え、近隣の電子機器をストップさせるなど、圧倒的な力を持つGジャン。
吸い上げられたら終わりのそれにも弱点がありました。
劇中、馬の置物を本物の馬と勘違いし吸い上げたGジャン。
そこにくっついていた布製の旗。それが口と思われる器官にくっつき、離れなかったようです。
我々人間も歯にものが挟まった時結構ウザいですからね。そんなイメージでいいでしょう^^
映画のポスターでも円盤のいる雲から旗がぶら下がっている、結構物語の核となる要素です。
この弱点を知ったOJたちは旗をGジャンに飲ませようと企みます。
異物を口にしたGジャンは少しずつ姿形を変え、従来の円盤型とは別の姿になっていきます。
この姿もまた不思議で面白いです。
クラゲを彷彿とさせるゆらゆらと浮遊するそれは大量のヘリウムガスによって膨らんでいた巨大風船を餌と勘違いして襲い掛かります。
そして風船が爆発するのに巻き込まれ、死亡?しました。
その様子を、電気を使わない原始的なカメラで撮影に成功したエメラルド。
死亡したかに見えたOJの姿を砂嵐の中に目撃し、喜びの表情を浮かべ、物語は幕を閉じます。
おわりに
今回は映画「NOPE」を紹介しました。
何かを見世物にしている社会への強いメッセージの込められた本作。
それをUFOというSFチックなテーマと重厚なストーリーに乗せて作ってしまうジョーダン・ピールの能力の高さを感じる作品でした。
ただのホラーとは少し違う、けど緊張感やハラハラ感を程よく感じることができる面白い映画だと思います。
その分純粋なUFO映画、と思って観るとかなり面食らうかもしれませんね。
自分がそうでした^^
気になった人はぜひ観てみてください!それでは!
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