今回はクリント・イーストウッド監督作「アメリカン・スナイパー」を紹介します。
イラク戦争を題材に、実在の軍人の生涯を戦地、そして戻ってきた本土における生活の2つを軸に見事に描いている良作です!今回は今作のあらすじ、ラストについてをまとめて解説していきます。
それではいきましょー。
※ネタバレを含みます。ご注意ください。
あらすじ
アメリカ特殊部隊であるシールズに所属する、クリス・カイル。彼はスナイパーとしてイラク戦争に従軍。現地で銃を構えていた。その圧倒的な狙撃の上手さにより、数多くの敵を倒し、伝説と呼ばれるまでになったカイル。
従軍期間を終え、家族の元に戻るも、心は休まらなかった。アメリカ社会では戦争のことを誰も気にしておらず、現実のことと思っている人間はほとんどいなかった。
自分の居場所を戦地に求めたカイルはその後も家族の制止を振り切り戦地に赴く。
戦地では仲間とともに敵と戦っていたが、仲間たちが立て続けに殺されたことで、心に大きな傷を負ってしまう。
その後、敵勢力最大の脅威であるスナイパーのムスタファを倒したことで、戦禍はひと段落。無事本土に帰還することができたカイル。
しかし本土ではかつての戦地の記憶がよみがえり、また、馴染むことのできない社会に、精神を病んでしまう。
病院で怪我を負った軍人たちと話すこと、そしてなにより献身的な家族の支えにより、少しずつ心を回復させていくカイル。しかしその矢先にとんでもないことが起こってしまう。。。
イラク戦争に従事した英雄的軍人の人生を描く実話
この物語の主人公、クリス・カイルは実在の軍人です。
作中でもそうでしたが、合計で4回もイラクに赴き、数多くの危機を乗り越えてきました。
文字通り生ける伝説としてその名を馳せたカイル。
しかし軍では英雄の彼もアメリカ本土に戻ると社会に馴染むことができませんでした。
戦争を経験した軍人が本土に戻るとPTSDを発症するケースは稀ではありません。
死と隣り合わせの危険な状況が何か月も続き、仲間が次々と倒されていくのを目の当たりにするのは、想像すらできないほど精神を蝕むものでしょう。
彼の場合は本土に戻った際に誰も戦争のことを気にも留めていないことに対し、自分の存在意義を疑問に思っている描写もありました。
軍では英雄でも一般社会では何にもなれないというもどかしさもあったのかもしれません。
完全な実話ではない
実在する人物をモデルとし、事実、戦地で圧倒的な活躍をしてきたカイル。
しかし全てが事実というわけではないようです。
物語終盤、最大のライバルとなる敵スナイパーを2,000メートル先から狙撃するシーンがありますが、さすがにこれは脚色されているようです。
敵スナイパーを倒したことはあるようですが、ここまで遠かったわけではないようです。
まあ脚色なしでは映画として成り立ちません。多少物語として味付けがされているのは無理もないでしょう。
カイルの年齢も、シールズになるための訓練を受けていた時に、30歳と話していましたが、実際はそれよりももっと若かったようです。いや逆にスゴイけど。。。
そしてオープニングの子供のシーン。。。
火器を持った子供が軍へ向かってきます。カイルは冷静にそれを狙撃します。目をそむけたくなりますよね。
あれはどうやら本当に体験したことのようですね。衝撃的ですね。
悲しすぎるラストは事実?
PTSDから少しずつ回復しつつあったカイル。家族との関係も良好になり、幸せな日々を送っていました。
その矢先、同じく軍を退役し、心を病んだ男のケアを頼まれます。
話をして射撃をしたら帰ってくると言い、家族の元を後にするカイル。
しかしそれが最後の会話となってしまいました。
男は戦争で精神を病み、射撃場でカイルへ向けて発砲。カイルはそのまま死亡してしまいます。
これは実際に起きており、全米を震撼させた事件となっています。
カイルと同じように戦地に行き、PTSDを発症した元兵士に殺されてしまうという結末はカイルを英雄視していた多くの人々を悲しませました。
実は当初はこの映画の脚本を製作している段階ではカイルは存命でした。
戦地とアメリカ本土のギャップに悩む元兵士が多いことへの問題提起的な意味合いのある映画となる予定でしたが変更となりました。
彼が殺害されてしまったことにより、急遽このようなエンディングとなってしまったのです。
おわりに
今回は、映画「アメリカン・スナイパー」を紹介しました。
世界的に評価の高いクリント・イーストウッド監督。実際にカイルと話し、リアルな体験を脚本に落とし込んだようです。
戦地にいる際の緊迫感だけでなく、本土に帰ってきた後の不安定さも絶妙に描いている傑作だと思います。
戦地で子供が武器を手に取った際、もし近づいてきたら撃つしかないという極限状態。そんな状況に追い込まれた人間の精神状態は想像すらつきません。
いかに我々が平和に暮らせているのか、そのありがたさを感じることもできると思います。
押しつけがましかったかも^^;
一度見たことのある人もまだ見たことのない人も、映画好きなら必見の一作だと思います。それでは!
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