今回は一風変わったミュージカル映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を紹介します。
タイトルにもある通り暗く悲しい物語ですがとても大きな印象を世界に与えた映画です。それではいきましょー。
※ネタバレを含みます。ご注意ください。
あらすじ
目に障害を抱えるセルマは息子と2人暮らし。日々工場で働きながら生活を切り詰めて暮らしていた。しかし日に日に病状は悪化していく。このままではもう間もなく目が見えなくなり、働けなくなってしまう。彼女が働く理由。それは息子のジーンだった。彼もまたセルマと同じく目に病気を抱えており、最終的には失明してしまう。その為には今のうちに働いて手術代を稼ぐ必要があった。そんな彼女の唯一の心の安らぎがミュージカルで踊ることだった。
そんなある日、セルマの元に友人のビルが訪れ、金を貸してほしいと頼み込んできた。しかし手術代を渡すわけにはいかない。泣く泣く断るセルマ。しばらくたったある日。セルマのいない間にビルはセルマの隠していた貯金をすべて盗んでしまう。
すぐに犯人が分かったセルマ。ビルの元へ行き、金を返すよう頼む。しかし返す気のないビルともみ合いになり、ビルの持っていた拳銃が暴発し、ビルの腹に命中。彼は死んでしまう。不幸なことに人を殺してしまい、警察から追われる身となったセルマ。すぐに逮捕され、裁判にかけられることになる。
裁判では目が見えないことを隠れ蓑にし人殺しをしたと罪を着せられ、そのまま死刑を言い渡されてしまう。不幸が連続するセルマに救いはあるのか、彼女と息子ジーンの未来とは。。。
終始暗い雰囲気で展開する異色のミュージカル
本作は観ると分かりますが、ミュージカル映画です。ミュージカル映画と言えば、「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」のように華やかなイメージがあるかもしれません。
残念ながら本作はそのような明るいイメージは皆無です＾＾
目の不自由なセルマを襲う辛すぎる現実。
そこから逃避するかのように彼女の空想の中でミュージカルが演じられます。
世界的な歌手、ビョークがセルマを演じているだけあって歌唱力は文句なしです。
セルマの儚さはともかく、時折見せる圧倒的な歌唱力だけがこの映画の救いです。。。
目を背けたくなる悪夢の連鎖
息子の手術代を必死に貯めていたセルマ。しかしその金を奪われただけでなく、事故で殺人犯になってしまいます。
息子の手術代だということは周りには隠していました。彼女は母国にいる父に仕送りをしているのだと嘘をついていました。
しかしこれが更なる悪夢へとつながります。
仕送りをしている父として母国で憧れだったダンサーの名前を使っていました。それがあだとなり、母国からそのダンサー本人が証人として呼ばれ、セルマとは何の関係もないことを証言します。ますます裁判で不利になっていく彼女。
本当のことを言えばいいのに、と思いましたが、彼女には何より息子が大切だったのでしょう。
しかし現実は非情。負の連鎖はさらに続いていきます。
最後は
死刑が言い渡されたセルマ。新たに弁護士を雇えば再審の可能性が見えてきます。
しかしセルマは息子の手術を優先するのでした。
自分の命よりも息子の視力を取る彼女の行動は、終始一貫しています。
不器用だけど息子を真に愛した彼女の姿が暗い映画の中で光っています。
刑の執行当日。「これは最後の歌ではない」と歌を空想の中で歌います。
その時無情にも刑が執行され、彼女は首つりにより死亡します。
死刑の執行を見届ける友人たち。まるでミュージカルのようにカーテンが閉まっていき、物語は幕を閉じます。
結局不運から死刑になり、死亡してしまうという何とも暗い結末。
しかし彼女は刑の直前、息子の眼鏡を手渡されます。それは息子の目の手術が成功した証。
彼女は安堵の表情を浮かべました。
死の直前ながら、息子の無事を知り、安堵する様子は偉大な母親のそれでした。
不器用ながら懸命に生きた彼女の人生が、幸せだったのか、それとも悲しい最後だったのか、難しいところですね。
どうしても最後に逆転で助かってほしいと願ってしまった自分は浅はかなのだろうか。。。
終わりに
今回は映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を紹介しました。
かなり異質なミュージカル映画ですが、世界的に評価され、様々な賞を受賞したことでも知られています。
終始タイトル通り、暗い雰囲気ですが、その中で希望を持ちながら生きていく主人公の姿を応援しつつも、襲ってくる圧倒的な現実。
その悲しすぎるギャップが本作の見どころかもしれません。
良くも悪くも話題となった作品、ぜひご覧ください。それでは。
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