今回は韓国No.1ホラー「箪笥/たんす」を紹介していきます。その完成度から韓国だけならず、日本をはじめ様々な国で高い評価を受けている作品です。
今回はあらすじや伏線、ラストなどをまとめて解説していきます!
他のホラー映画はこちらで紹介しています!
それではいきましょー。
※ネタバレを含みます。ご注意ください。
あらすじ
かつて母親を亡くしたスミとスヨン姉妹。
父と一緒に郊外の邸宅へと引っ越してきた。
父は若い女性と再婚し、姉妹は義理の母親ウンジュとの生活を余儀なくされてしまう。
邸宅での暮らしが始まってすぐ、姉妹、そしてウンジュの前で奇妙な現象が起こり始める。
姉妹は悪夢にうなされ、ウンジュは何者かの気配を感じるようになった。
そして家族の関係にも亀裂が生じ始める。
そもそもウンジュを母親として認めていないスミとスヨン。そしてそれを感じ取っているウンジュの関係は、決して良好なものとは言えなかった。
ある時、ウンジュはとあることからスヨンに怒り、彼女を部屋にあった箪笥に閉じ込めてしまう。
泣き叫ぶスヨン。あとから駆け付けたスミはウンジュの取った行動に激怒し、父親に相談することに。
そしてそれがある衝撃の事実へとつながっていく。
姉妹を待ち受ける結末とは。そして奇妙な現象の正体とは。。。
韓国の伝説的なホラー
原作は韓国の古典で、これまで複数回リメイクされてきました。
中でも本作は完成度が非常に高く、公開から20年近くたった今日でも、その知名度は抜群です。
ただのホラーというわけではなく、サスペンス的要素も含まれており、特に結末はホラーの歴史に名を刻むものだと思います。
原作では姉妹が義母に意地悪の末、自殺に追い込まれてしまう、という何とも後味の悪いものですが、今作はストーリー自体かなり変更が加えられています。
仲良し姉妹は実は
気の弱いスヨンを守る姉スミ。
意地悪な継母と直接口論になることも。
そんな中、継母との関係を大きく決定づける事件が起こります。
それがあらすじの箪笥の一件です。
スヨンの部屋に入ると、ウンジュは彼女が前の母親の写真を大切に保存していることを知ります。
それだけではなく、父とウンジュが2人で写っている写真のウンジュの箇所を切り取り、彼女の顔を黒く塗りつぶしているのを発見します。
これに激怒したウンジュ。スヨンを箪笥に閉じ込めてしまいます。
恐怖で泣き叫ぶことしかできないスヨン。
しばらくしてスミが異変に気付き箪笥を開け、スヨンを助けます。
ウンジュへの怒りが頂点に達したスミは、父にこのことを告発しました。
しかし父の態度は相変わらず煮え切らないものでした。
それだけでなく、スミを責めるような態度を見せるのです。
元々姉妹への風当りが強い印象があった父。しかしこれはあまりにひどいと思った矢先でした。彼から衝撃の言葉が発せられるのです。
スヨンは死んだ。
スヨンはすでに死亡しており、スミの空想の世界の産物だったのです。
なんの知識もなくこれを観ると衝撃ですよね。
シックスセンス的なオドロキでした。。。
更なる衝撃が
スヨンの一件の後、現実を受け入れられないスミはウンジュと再度口論します。
スヨンをウンジュが殺したのではと考えるスミとウンジュは激しい口論の末、取っ組み合いを始めます。
床に転んだスミに対し、石膏像を投げつけようとするウンジュ。
その時、父が帰宅し、スミは間一髪助かります。
一方のウンジュは椅子に座り呆然としています。
夫から薬を差し出されるウンジュの前にある人物がドアを開けて現れます。
それは他でもない、ウンジュだったのです。
初見では???となること間違いなしの展開ですね。
しかしすぐにその謎は明らかになります。
実は邸宅で生活をしていたのは、父とスミの2人だけで、ウンジュという人間はそこには暮らしていなかったのです。
全てはスミが作り出した幻想にすぎませんでした。
これまでウンジュから受けてきた意地悪の数々は、実はスミ自らが起こしてきたものだったのです。
ここでこれまでの出来事が一気につながります。
全てを知ったスミはなすすべなく、手渡された錠剤を口に運ぶのでした。。。
彼女の精神は完全に崩壊してしまっていたのです。
回収される伏線の数々
全てが明らかとなる終盤。
これまでの奇妙な出来事の数々の原因が明らかとなっていきます。
父親の態度が妙に冷たかったのは、狂ってしまった娘に疲弊していたことによるものでした。
彼女をどうにかしたいという思いで新生活を始めますが、それも無駄に終わってしまいます。
スヨンのベッドに死んでいた鳥も、スミ自らが鳥を殺し、ベッドに置いたものでした。
ウンジュがやったと決めつけ、彼女を敵視していましたが、ウンジュ=スミだったので間違いではなかったですね^^;
親戚が家に来た時に過去の話がかみ合わないことがありました。これもウンジュではなくスミが話していたとすれば納得。
彼女が昔話をする姿に違和感を覚えていたのでしょう。
そしてそもそもの始まり。屋敷を前にして車から降りるスミとスヨン。
しかし実際には降りてきたのはスミだけ。スヨンと一緒だと思い込んでいたスミの作り出した幻覚だったのです。
桟橋で2人仲良く喋っている姿がありましたが、エンドロールではスミ1人だけが桟橋に座っている姿が映し出されます。
このあたりの表現はとても上手いですよね。靴だけはしっかり残っているあたりもいい意味で嫌な感じですね(?)
多くの謎が解けていく様子はゾクッっときました。
でも内容が内容だけに爽快感はありませんでした^^;
明らかになる家族の過去
物語ラストでは家族の過去が明かされ、スミがなぜ精神を壊すに至ったのかが分かります。
箪笥の中で自殺をした母親を発見した生前のスヨン。
母親を起こそうとすると衝撃で箪笥が自身に向かって倒れてきます。
箪笥に押しつぶされそうになり、助けを求めるスヨン。
それを見ていながら、見て見ぬふりをしたウンジュ。
そしてスミはそのことを知らず、外へ出かけるのでした。出がけにウンジュから受けた警告「この瞬間を一生後悔するかもしれない」はまさしく言葉通りとなってしまったのです。
自分が家から出なければ彼女を助けられたかもしれない。
このことで自分を責め、精神を病んだスミは、その後まともな暮らしを送ることはできませんでした。
一番初めの精神病院のシーンへとつながっていくのでした。。。
箪笥というタイトルはここからきています。スミにとっては、母と妹の両方を失うことになった恐怖そのものだったのでしょう。
幻想の中でも恐怖の象徴として描かれます。
お化けは出ないの?
出ます。残念ながら。
物語ラスト、本物のウンジュが屋敷を訪れます。
かつてスヨンが死亡した部屋で奇妙な現象が起こります。
リボンの切れ端が布団の隙間から垂れ下がっているのを見つけ、引っ張ります。
すると母親なのかよく見えませんが、真っ黒な姿をした幽霊が彼女の前に現れます。
これまで空想や存在しないものにおびえることが多かった中で、最後に本物の幽霊が現れてくれるのはホラーとしてはありがたい(?)ですね。
ただのサスペンスだけでなく、ホラーが見たいわけですから^^;
おわりに
今回は映画「箪笥」を紹介しました!
正直、怖さという観点から観ると拍子抜けするかもしれません。
なんというか、とてもミスリードがうまい作品ですよね。
それでいてホラー要素もしっかりあって、悲しすぎるラストなんだけど、変な爽快感もある不思議な映画だと思います!
ホラー、サスペンスの両方のいいとこどり映画だと思います。
ホラーが苦手な人もぜひ観てほしいですね!それでは!
その他映画紹介はこちら
ホラー映画紹介はこちら