今回はクリス・プラット主演のSF映画「パッセンジャー」を紹介します。近未来の宇宙船で起こったある悲劇とそこで生きる人間の美しさを描いた名作を解説!それではいきましょー。
※ネタバレを含みます。ご注意ください。
あらすじ
地球から別の星へと移り住むため、宇宙船アヴァロンは宇宙空間を航行していた。5,000人の乗客たちは冷凍カプセルで眠り、目的地への到着を待っていた。乗客の一人、ジムがカプセルから目を覚ますと、到着がまもなくだと告げられる。
しかしジムが船内を歩き回っても、他の乗客たちの姿が無い。おかしいと感じたジムは船内を調べる。すると、120年の航行のはずが、まだ30年しかたっておらず、90年も早くひとり目を覚ましてしまったことを知る。
必死にカプセルを直そうとするも、ことごとく失敗に終わってしまう。途方に暮れるジム。しかし乗客たちのカプセルの中に、とても美しい女性が眠っているのに気づく。彼女はオーロラ・レーン。カメラマンの娘で作家。彼女のことを調べるうちに、ますます彼女への思いが強くなっていくジム。そしてそれは次第に「彼女を起こしたい」という思いにつながっていく。そしてとうとうジムは許されないと知っていながら彼女を起こしてしまう。
目覚めたオーロラとジム。2人の宇宙船での暮らしが始まった。ジムは彼女に言えない大きな真実を隠しながら。。。
孤独な宇宙に独りぼっち
ジムは宇宙船で目を覚ますと、他の住人よりも90年早く目を覚ましたことを知ります。
30~40代のジムにとっては到着するころには確実に死亡しています。それを知ったジムの表情には何が起こったのかわからないという不安と圧倒的な絶望が見て取れます。
自分の立場になったときには間違いなく発狂しますね^^;最初のうちはよくても死ぬまで一人でいる将来を想うとねえ。
孤独に耐えかねたジムは一目ぼれしたオーロラを目覚めさせます。
それはオーロラも自分と同じ運命をたどらせることを意味します。絶対に許されるはずのない行為。
後に目覚めたクルーのガスからも、絶対に許されない行為だと咎められます。気持ちはわからなくないですが、あまりに一人よがりすぎる行為です。
オーロラの恐怖
始めのうちはジムと二人、共同生活をしていくうちに、彼に惹かれていくオーロラでした。
しかし、アンドロイドのアーサーがうっかり彼女が起きた原因を話してしまいます。
当然、彼女のジムに対する見方は激変します。自分が目的地まで到着できず、船の中で死ぬのが、すぐ近くにいる男のせいだと分かった時の恐怖は想像に難くありません。
それからはジムを徹底的に避けて行動します。そらそうよ
恐怖と怒りの入り混じった表情はさすがジェニファー・ローレンス。ただの怒りだけでなく、すぐ近くにヤバイ男がいることへの恐怖を見事に演じています。
船の運命は
船は隕石が衝突したことで多くの箇所に異常をきたしていました。
核融合炉が停止する寸前のところまで来ており、このままでは、船は運行不能になってしまいます。
そしてクルーとして船に精通していたガスもカプセルの故障による弊害で体調不良になり、そのまま死亡してしまいます。
再び2人だけ取り残された船内で、彼らは船を直し、自身と乗客たちを救う決意をします。
彼らはこの危機を乗り切っても確実に目的地にはたどり着けないにも関わらず、船を直そうとする姿は感動的ですね。
力を合わせ船を修復しようとする2人の関係も次第に戻っていきます。。。
最後は
船を修復するためには、核融合炉をクールダウンさせなければなりませんでした。
しかしそのためには、外側の排熱口から熱を逃がさなければなりません。これには手動で直接口を開かねばならず、口を開くと炉の熱を体に直に受けてしまうことを意味します。
危険な任務を自ら行うことを宣言したジム。
このころにはすでにオーロラの心はジムを想うようになっていました。
必ず戻ってくると言い、外へ出たジムでしたが、熱を体に長時間浴びたことにより、心停止してしまいます。
何とか船内の医療ポッドで蘇生を試みるオーロラ。そしてジムは奇跡の復活を遂げます。
それから2人はともに生活をするようになりました。ハッピーエンドですかね。
しばらくしてジムは医療ポッドを改良し、再び冬眠することができるポッドを作ることに成功します。
しかし入れるのは1人だけ。オーロラに罪滅ぼしも兼ねて入るよう勧めます。。。
またしばらくして、バーで一人たたずむジム。そして後ろにはオーロラの姿が。
彼女は冬眠よりもジムと2人生きていく道を選んだのでした。
自分の人生を狂わせ、最初は軽蔑していましたが、ようやく収まるところに収まった感じですね。まあよかったんでしょう。
そして88年後。乗客たちが目を覚ますと、そこには、自然豊かで命があふれる船内の姿を目撃します。2人は最後まで幸せに暮らしていたのでした。
終わりに
さて今回は映画「パッセンジャー」を紹介しました。宇宙船内に一人ぼっちという夢のあるような、ないようなテーマですが、そもそもSFとして細部まできっちり作りこまれている良作だと思います。
その中で起こる2人のドラマは、SFだけどヒューマンドラマのような感動の物語と言えます。
ラストでは88年後、2人は当然もう生きてはいないでしょうが、船の中に、確かに生きた証を残せたこと、オーロラは作家として船内での人生を物語にし、乗客たちに伝えていくことが示唆されます。
限られた時間と空間の中で、幸せになれたのであればよかった^^
ということで色々な形のハッピーエンドがあるということを教えてくれるこの映画。
ぜひ観てみてください!それでは!
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